上高地は
濃厚な空気と匂いでした。
青々とした
命が満ちていました。
それは森から、
草木から
放たれた。
霧雨のように降りしきる、
針葉樹の落ち葉。
しんしんと
静かに降りしきる。
足が丈夫なお客さんと3人で、
僕らは奥にある
明神池まで向かう事にした。
帝国ホテルでの
ティ-タイムは
諦めよう。
僕等には3時間しかないのだ。
これがバスツアーの制限タイム。
時折聞こえてくる
小鳥のさえずり、
間断無く続く川のせせらぎ。
すれ違いに交わす
挨拶、
落ち葉を踏みつける足音。
僕らは
段々無口になる。
木々のトンネルを
歩き続けた。
すっかり雨も上がり、
山も少しずつ見え始める。
紅葉した落ち葉が
広がった道は、
きらきらと目に眩しかった。
川に目を向けると、
岩魚が
飛び跳ねている。
野猿が駆け回っている。
もうすぐここは雪が降る。
そして
また元の静かな世界に戻る。

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